妻Yは、夫Xに対して離婚を求め、夫Xは離婚届に署名押印して妻Yに渡した。翌日、夫Xは知人である役所の職員に、離婚届を止めるよう依頼した。妻Yに対しても悪かったことを認め「悪いところは直す、やり直すように考えてくれ。1,2ヶ月様子を見て、それでも改善しない場合は離婚届を出してよい」と申し入れ、妻Yはこれを受け入れた。しかし、1ヶ月後夫婦関係は悪化し、さらに5ヶ月後、夫Xに知らせることなく離婚届を提出した。
夫Xは妻Yに対して、離婚無効の訴訟を提起した。
離婚届に署名押印したが離婚意思をひるがえし、その後に出された離婚届は無効か
離婚届提出時点に離婚意思がないとして離婚は無効
第一審は請求を棄却
控訴審
離婚届が有効となるためには、提出時点で離婚意思があることが必要であり、離婚届提出を猶予する条件として夫が悪いところを改善するということが満たされなかったという事情はあっても、夫Xが職員に依頼している点や離婚届に署名押印されてから提出するまでに6ヶ月経過している点、離婚届提出を知った後の夫Xの行動などを考慮すると、離婚届提出時点で夫Xの離婚意思があったと認められない。として、離婚無効の請求を認めた。
大阪高裁 平成6年3月31日
浮気などをして、話し合いの結果やり直すこととし、、「次浮気したら離婚」というような約束で、予め離婚届に署名押印して相手方に渡すということがあるかと思われます。しかし、また浮気をしたからといって離婚届を提出しても必ず離婚が成立するというわけではなく、あくまで提出時点で双方の離婚意思が必要になるということです。
離婚判例TOPに戻る
〒651-0084
神戸市中央区磯辺通1-1-18
カサベラ国際プラザビル8F
TEL 078-414-8385
FAX 078-414-8386
事務所概要